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池田哲平のコラム
尿石症を考える(1)

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2012年7月6日

 今回からは泌尿器の病気を二つ見ていきたいと思います。一つは尿石症、もう一つは膀胱炎です。

 これまでの牛の泌尿器の解剖で見てきたとおり、泌尿器は雄と雌とで構造に違いがあります。その違いが大きな原因になって、雄では尿石症による尿閉が起きやすく、雌では膀胱炎が起きやすくなっています。

 これら二つの病気はそれぞれ単独で起こる事も多いですが、病気の発生や病態に関しては互いに関係しているところもあり、同時に発症する場合もしばしば見られます。尿石症が起こったことによって膀胱炎になったり、逆に膀胱炎になったことで尿石症になったり・・・。どちらも非常に厄介です。

 両者のうち、まずは尿石症について考えていきたいと思います。尿石症に関しては、以前に蓮沼獣医師もコラムで特集しています(第16話第29話)し、伏見獣医師も症例を紹介しています(No.187No.189)。先輩方のお力も借りつつ、今回から尿石症について若輩者の私が思っている事や詳しい病気のメカニズムなど、分かり易く紹介していけたらと思っています。

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