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池田哲平のコラム
尿石症を考える(2)

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2012年7月13日

 まず、尿石症とはどんな病気なのでしょうか?

 一般的に「尿石、にょうせき、ニョーセキ」と呼ばれているこの病気は、“尿路(泌尿器)に出来る結石によって起こる泌尿器の病気”をまとめて言う言い方になります。つまりは腎結石、尿管結石、膀胱結石および尿道結石を全部ひっくるめて「尿石症」と言います。結石そのものは腎臓か膀胱で出来る事がほとんどで、そこでできた結石が尿管や尿道といった細い管になっているところで詰まったり粘膜を傷つけたりすることで臨床症状として現れます。
 この時に牛さんは臨床症状を示す事が多く、農家さんの多くもここで気が付きます。牛さんの場合は去勢牛で発症する事が殆どですが、おしっこをする時に痛がる(尻尾をよく振る、後ろ足でお腹を蹴る)、おしっこを我慢する様に尻尾をあげている、おしっこの出方が細かったり長い時間かかったり途切れ途切れにしたりする・・・などの症状を見ると、「なっ!!尿石か!?」となる訳です。尿閉するとエサもパタッと食べなくなります。
 
 その一方で、あまりあって欲しくはないのですが、尿石症が頻繁に出ている農家さんでは、おしっこが出てくる部分に生えている陰毛を普段からよく観察されています。陰毛に結石の成分が付着することでうっすら白くなっているくらいならまだいいのですが、結石が目に見えるくらいの大きさで結晶化してきているのを見つけて、「先生、あの子、尿石あやしくないか?」と診察を頼まれる事もあります。この時点では臨床症状が現れていない牛さんが殆どですが、この時点で気がついて治療を開始出来れば飲み薬だけで治癒してくれる可能性がかなり高いです。

ikeda_20120713

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