(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.187:今さらながら・・・その1

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2012年6月6日

「エサを全く食わんから見てくれ」
と言われて牛を診察すると・・・胃動は鈍いが一般コンディションに大きな異常はありません。
それでも全く食わないってぐらいだから何かあるだろうと精査していると、しっぽを上げておしっこをし始めたのですが・・・んま~弱々しいっ!!

ポタッ、ポタタタタッ

fushimi_187

時折、ツーっと線になることもありますが、線香のよう細さです。

なるほど、これが原因ですね。
直検してみると膀胱の張りは60%ほど。
エコーにて尿道~膀胱にかけて描出すると、尿道内に異常は無さそうですが、膀胱を揺らすとエコー原性の高いデブリス(浮遊物)がキラキラと映りました。

これは・・・切るか切らざるか迷う・・・
おそらく現症から、この子の尿道のS状曲にはかなりいいサイズのストラバイト結石が詰まっていて、膀胱内にも砂状の予備軍がスタンバイしていると思われます。

完全な尿路閉塞ではないのでまだ開通する可能性もあるのですが、あまり長く尿道内に結石が尿道壁を圧迫した状態で存在しているとそこの組織が脆弱化して(とこずれの原理と同じ)尿道破裂の状態に進行してしまいます(汗)
また、時間が経つにつれて膀胱内の砂状の結石も降りてきて、同部位に蓄積し完全閉塞もありえます・・・

うっう~ん・・・
よし、まずはゼノストン(ゼノアック)ぶち込むか!!

続く

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