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伏見康生のコラム
NO.189:硬水

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2012年6月20日

数年前に、大型の肥育牛者を完成させたγ畜産さん。

牛舎の増築と牛の増頭に伴い、水の確保が必要になるので、敷地内に井戸を掘ってそこから取水していました。
問題が発覚したのは、それから半年ほど・・・

去勢牛にバラバラと尿結石からの尿路閉塞が出始めたのです!!!

分析センターに水質検査を依頼し、結果を見てみると・・・
色々と問題のある数値はあったのですが、なかでも直接結石の形成に関係があると思われたのは硬度(カルシウム、マグネシウム)。
調べた農場の水は硬度200mg/Lでした。

300頭以上入る牛舎だったのですが、検査以降は尿路閉塞を恐れ、雌のみを入れて飼うことに。

そして先日、オーナーさんの判断でそこの水道を市水に変えることになりました。
変えるにあたり、水質を再び調査してもらったところ、注目していた硬度は53mg/Lになっていました。

尿結石を形成する原因は食餌性、代謝性、感染性、遺伝性など多くありますが、群で多くの牛に発生が見られた場合には前者二つが濃厚になってきます。

硬水というだけで結石が形成されるとは言えず、多くの要因が絡んでいることは間違いありませんが、少なくとも硬水であることはストラバイト結石の形成を促進します。

市水に変わって去勢牛が飼えるようになるのか??注目していきたいです。

fushimi_189

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