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蓮沼浩のコラム
「第29話 「番外編 尿石は痛いのか? その2」」

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2007年4月5日

 前回の続きです。牛さんに「尿管結石」はないのかという疑問ですが、小生の結論として「あるとは思うけど、現場で見たことがないし、診断をつけたこともないのでよくわかりましぇん。」という身もふたもない答えしか出せません。スミマセン。「尿道結石」の場合は膀胱が張っているので直腸検査ですぐに診断がつくのですが、「尿管結石」の場合は症状がよくわかりません。おそらく痛いと思うので普通に「腹痛」と判断している中の何割かはもしかしたら「尿管結石」なのかもしれないと一応は思っています。また、尿検査をしてもたとえ潜血反応が陽性でも包皮炎、尿道炎、膀胱炎、尿道結石、膀胱結石等との類症鑑別が難しく、なかなか確定診断が難しいです。腎臓結石の結構進んだ状態であれば血液検査と経験則からなんとなくそれっぽいなとはわかるのですがこれもまたはっきり言うのは難しいのです。そしてこれは確実に怪しいと思ったときは時すでに遅し、がび〜ん(涙)!!しかし、当然怪しくないときは農家さんも往診を頼まないし、獣医さんも全然気がつかない・・・。なかなか厄介です。何か診断をつけるための良い方法はないものだろうか・・・。最後に「腎臓結石」と「膀胱結石」の発生頻度ですが本来は「腎臓結石」のほうが多いと思うのですが、小生の感覚としては目にする機会が多いせいか「膀胱結石」のほうが多いような気がします。両方を併発している場合も実際はたくさんあると思うのですが、膀胱結石から尿道結石にいたり、尿閉を起こした牛さんを手術で治してしまえばその後腎臓まで確認できないのでわからないのです。でもその中でも術後再発したり妙に治りが悪い牛さんが腎臓結石を持っているのでは?と思っています。「繁殖松田」さん、ちょっと長くなりましたが小生の思うところは大体こんな感じどえ〜す。
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