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蓮沼浩のコラム
「第28話 「番外編 尿石は痛いのか? その1」」

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2007年3月29日

 今回は掲示板で質問のあった「繁殖松田」さんの質問についてお答えしますね。まず最初に抑えておかなければいけない非常に重要なポイントがあります。石が詰まるという場合、腎臓から膀胱につながる「尿管」に詰まる「尿管結石」の場合と、膀胱から陰茎の中を通り外へおしっこを出す「尿道」に詰まる「尿道結石」の場合の2種類があるということです。人間の場合、結石の激痛で苦しんだというときは大抵先に述べた「尿管」に石が詰まる「尿管結石」です。松田さんの知り合いの方の多くはおそらくこっちの方でしょう。小生は幸いなったことはないのですが経験者いわく、「死ぬほど痛い」そうです。救急車で運ばれることも多々あるようです。では、牛さんの場合はどうかというと、臨床現場で遭遇するほとんどすべてが「尿道結石」の方です。尿道に石がつまりおしっこが出なくなります。当然膀胱にどんどんおしっこがたまりパンパンになります。この状態になると牛さんは何度も自分のお腹を蹴ったり、立ったり座ったりを繰り返したり、四肢を伸ばして横倒しになったり、明らかに普段と違う動作をします。彼らに直接聞いたわけではないのですが、見ているだけでものすごい痛そうです。また、尿道に石が少し詰まっていても完全に尿閉を起こしていない場合は排尿するときだけ痛がります。いわゆる「排尿痛」があります。でも普段はケロッとした顔をしていて何ともなさそうです??これは尿閉の初期症状である場合が多いので注意です。それでは牛さんに「尿管結石」はないのか?という疑問がわいてきます。それについては次回説明しますね。
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