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蓮沼浩のコラム
「第16話 「尿石症あれこれ」」

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2006年12月25日

 さて、今回からは「尿石症」について現場で思うことを小生の今までの臨床経験をもとに肥育牛の去勢を念頭に書いていこうと思います。まず尿石症の往診依頼には大体2種類あります。まず、尿石症のことを良くわかっている農家さんからの依頼では「先生、尿石みたいだ。すぐに来て〜。」というパターン。牛さんも結石が尿道につまり尿閉をおこしており、おなかを蹴ったり、立ったり座ったり、明らかな疝痛症状を呈している場合が多いです。陰毛にも結石がびっしり。これは非常にわかりやすいので診断は慣れれば容易です。直腸検査で膀胱の拡張を触診したら確定診断がつきます。もうひとつは特にはっきりとした疝痛症状はなく「何か様子がおかしい。診療お願いしま〜す。」というパターン。この場合は要注意。獣医さんも最初は尿石症と思っていないので見落とす可能性があります。特に導入したての子牛が要注意。陰毛もきれいにしてあり、何か調子が悪そうだと思ってもはっきりした症状がなく体温も正常。聴診しても特に異常音も聞き取れない。「あれ?風邪引いてるんじゃなかったんだ・・・。」と思い直腸検査をすると膀胱が張っていたなんて場合があります。しかしこの場合も必ずいつもと様子が違うので見落とさないことが重要です。小生はいつも直腸検査用手袋を持ち歩き、診察していて何か心に引っかかったときはすぐに直腸検査をするようにしています。これ、肥育牛の診療で非常〜に大事っす。
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