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第337話「ハエが送る重要なメッセージ②~不快な理由~」 |
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2021年6月9日
ハエはどこからやってくるのでしょう。
マラソンランナー高橋尚子選手が好きな曲にありそうな文章から今回のコラムを始めます。
ハエは卵から孵化し、ウジからサナギを経て成虫になります。牛の糞、飼料の食べ残し、ミルクかすなどを食べに牧場へとやってきます。さらに牧場のにおいと同じにおいをなぜか発している私たち獣医師の診療車内にも飛来してきます。
ハエの一生とは
驚くべきはハエの成長速度とその増殖力です。3日程度で卵から孵化した幼虫(ウジ)は7日程度でサナギになり、10日程度で成虫になります。生まれてから大人になるまで2週間程度。はやい…。さらに、成虫(♀)は5日もすれば産卵します。つまり1か月あれば次世代まで命をつなぐことができるのです。しかも1回の産卵で100個、一生(ハエの寿命は40日程度)かけて500個もの卵をこの世に産み落とします。それらが500匹の成虫になり卵を産むとすると…。脅威です。

なぜハエは害虫なのか
ハエは生ごみなど「においの強いもの」によく集まり、そこでハエにとってのエサをペロペロとなめ、次の場所へ移動します(ハエには歯がなく、食べ物をなめとるしかないので、液体やある程度柔らかいものを好みます)。ハエにとってのエサ場にはたくさんの病原体も存在していますので、それらをハエが体中にくっつけながら次の場所へと飛んでいきます。病原体の代表的なものでいえば「大腸菌」「黄色ブドウ球菌」「サルモネラ菌」などです。

さらに、牛さんのエサの上に飛来してそこで糞をすることも多々ありますね。もちろんハエの糞がびっしりついていれば牛の嗜好性だって下がります。
なぜハエは不快な存在なのか
病原体を運び、エサの上に糞をするという点だけでも大問題なのですが、それだけではありません。ハエが飛び交う音がさらに私たちや生き物を不快な気分にします。「ブンブーンブーンブーーーン」という音は非常に耳障り。「五月蠅(うるさい)」とはよくいったものです。体にハエがペタペタくっついてくる感触も気持ち悪くて嫌ですよね。そして追い払ってもすぐに戻ってきて周囲にまとわりつく。こうしたことが「存在が不快」という文言につながってきます。
ちなみに、そんなハエの駆除については松本コラム2007年5月14日、5月21日、2014年4月28日でも紹介しています。夏に向けてぜひご覧ください。
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