2022年6月18日 13 子牛の出荷時日齢と体重の推移 図は子牛市場における出荷日令と体重、及び日齢体重(体重/日齢)の推移を表しています。このグラフの2020年までの集計対象となった市場出荷子牛は、体重100kg以上340kg以下、日齢100日以上399日以下の肉用子牛なので、体重のある子牛が除外されていることを考慮する必要があります。2021年4月からの集計対象は日齢182日以上365日以下となり、本図の2021年はその基準を反映した値です。 1990年に出荷日齢が290日で出荷体重279㎏だったものが、2020年には278日齢で284㎏となりました。出荷体重が5㎏増え、出荷日齢が12日間早くなりました。日齢体重で0.962㎏/日が1.022㎏/日となりました。新しい集計方法では、出荷日齢が281日齢で出荷体重295㎏、日齢体重1.052㎏/日となり、発育の良さが鮮明になりました。これは黒毛和牛の遺伝的能力が向上したことで生時体重が大きくなったことと、胃袋が丈夫な子牛を飼養する管理技術の向上などにより、子牛の発育が良くなった結果と考えられます。 2010年は国内で口蹄疫が発生した年で、その影響から出荷日齢が大きく伸び日齢体重の落ち込みにつながった可能性が考えられます。このような災害から、日齢体重の向上は一時停滞した時期はありましたが、2003年の0.955㎏/日から2021年の1.052㎏/日まで改善が継続しています。出荷体重は2007年から2015年まで横ばいで推移しましたが、それ以降の出荷体重増が顕著です。2010年を除き、この期間の出荷日齢に大きな変化がないことから、子牛飼養管理技術の向上などにより、子牛の発育が良くなった結果と考えられます。 大きく普及が進んだ栄養面からの子牛飼養管理技術は、哺乳量をできるだけ増やすことと、哺育期間中のスターターの積極的な給与の2点が挙げられます。哺育中の発育を最大化するためのミルクの積極的給与とともに、ルーメン機能を高め栄養を充足させるための早い段階からのスターター給与が子牛の良好発育に貢献しました。 出雲畜産技術士事務所 代表 出雲将之 第1弾「幸せな牛飼いとなるための10カ条-1」 第2弾「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス-1」 第3弾「牛さんの気持ちになって考える」 第4弾「牛さんとわたし」 第5弾「和牛への支援と将来展望」 |