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笹崎直哉のコラム
再検査の重要性 その6~繁殖成績改善を目的とした血液検査~

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2022年3月22日

先日「笹崎直哉さん、チームメイトの方と5月のイベントでブレイクダンスしてくれますか?よろしくお願いします」との電話。
そうなんです。5月、阿久根市内で開催されるイベントでダンスを披露することが決まり、数日前から本格的な練習を始めました。現在の笹崎は過去習得していた技が出来なくなり、動きにキレがなく、体力もないカッコ悪い老化したダンサーです(情けないなぁ)。でもイベントが決まった以上は頑張るしかないので「本番で沢山のお客さんを笑顔にさせるぞ!そのための鍛錬じゃ!」と練習前、誰もいない車の中で独り言を言いながらモチベーションを上げています。あと1ヵ月半でどの程度仕上がるかな~楽しみだ~。

さて前回のコラムでは繁殖農場における血液検査の1例を紹介しました。ここでのポイントは繁殖牛をステージ別に分けて数値を考察することでした。
せっかくなのでもう1例紹介しますね。
今回は黒毛和種繁殖雌牛80頭規模の農家さんです。まずは検査に至るまでの経緯を紹介します。

〇農家さん:生後1週間で母子分離し、その後人工哺育するため自然哺育の農家さんよりも発情兆候が分かりやすいのに2~3カ月前から産後の発情兆候が弱く、受胎率が低下してきた。

〇シェパード 笹崎:妊娠鑑定の結果、マイナスだった牛さんの中で卵胞嚢腫になった牛さんはいなかった。一方でほとんどの牛さんが黄体のサイズが小さかったり、良好な黄体を持っていても、卵胞の発育が悪かったり(小卵胞群)とあまり良い卵巣所見ではなかった。

〇かかりつけの授精師さん:ここ最近発情時の成熟(グラーフ)卵胞が硬めだ

以上の理由から血液検査を実施することになりました。
ではどの牛さんを検査対象にしましょうか。農家さんの希望もお聞きし、いろいろとコスト面など話し合った結果、5頭検査することになりました。選択する繁殖のステージは以下示すように

妊娠鑑定でマイナスが分かってから、授精(AI)されていない、あるいは産後50日経っても初回授精されていない牛さんを対象にしました。今回は先程紹介したように黄体と卵胞に関するコメントが多かったので、βカロテン、ビタミンAの測定は優先度が高いと判断しました。

卵胞と黄体に関しては関東シェパードの加地永里奈獣医師が卵胞と黄体の違い①としてエコー所見も含め分かりやすくまとめてくれています。是非ご覧ください。

それ以外は総コレステロール(T-CHO)、血中尿素窒素(BUN)、血中アンモニア(NH3)を選択し、全部で5項目になりました。
え!少ない!!と思われる方が多いと思います。かなり厳選しました。欲をいえばビタミンEも測定したかったですね。

さて総コレステロールは分娩後の牛さんのボディコンディションスコア(BCS)が高く、過肥傾向だったため、血中の栄養レベルとしてみたときにどれほどなのかを知りたくて選びました。血中尿素窒素とアンモニアは飼料中に含まれるタンパク質の摂取量やその代謝産物がどうなっているのかを探りたくて項目に入れました。

結果は以下になります。

いかがでしょうか。どの項目のどの数値が気になりますでしょうか。じっくりと考察していきたいところですが続きは次のコラムで紹介しますね。

ちなみに結果を農家さんにお伝えしたところ

え!まさかこの項目の数値が低いとは思わなかったです!

とのことでした。では次回をお楽しみに。

つづく

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