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卵胞と黄体の違い① |
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2021年10月6日
先日繁殖を始められた農家さんから卵胞と黄体って何が違うんですか?とご質問をいただきました。それぞれの違いに着目してまとめてみようと思います。
卵巣では、約21日間の生殖周期に伴い、卵胞の発育、卵子の成熟、排卵と黄体の形成が行われています。
卵子は数々の細胞に囲まれた状態で卵巣に存在します。これをまとめて卵胞と呼び、卵巣に多数存在しています。その数は、お母さん牛がそのお母さん牛のお腹の中にいる胎児期に決まり、6~10万もの卵子の元となる細胞が卵巣に詰まった状態で生まれてきます。これらがひとつひとつ、水風船のような液体の中に卵子を守る卵胞へと成長し、最終的には12~24mmの大きな袋となって卵巣表面に出てきます。この成熟した卵胞からは発情を促すホルモン、エストロジェンがたくさん分泌されます。そして発情から半日ほどでこの袋が破け、中の卵子が卵管を経て子宮へと飛び出していきます。ただし成熟して排卵にまで至るのは1周期に1つの卵胞のみで、最初の数の0.1%以下という極少数。残りの大部分は発育途中で死滅してしまいます。
排卵した後のくぼみでは、1週間ほどかけてそこを埋めるように細胞が増殖し、黄体という組織に変化します。黄体は、卵子と精子が出会って受精卵が形成された際に妊娠を維持するためのホルモン、プロジェステロンを分泌する組織です。(黄色いプーさんと覚えました。)黄体は十分に大きくなると卵巣の半分以上占めるようになり、キノコ状に突出した部分を直腸検査で触ることができます。妊娠していなければ、排卵から16~18日後に黄体の退行が始まり消失していきます。
続く
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