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藤田真千子のコラム
No.13 フレッシュチェックで確認すること⑤ まとめ

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2021年12月9日

前回はエコーによる子宮修復のお話でした。
フレッシュチェックでエコーでの子宮の検査や腟内の粘液に異常がある場合は、治療対象となります。※これらの評価で正常に見えても子宮内に炎症があるケースもありますが、重症なものは拾えるかと思います。

<卵巣機能回復と子宮修復の関係>
子宮内の細菌数や炎症細胞の程度が卵巣機能の回復に影響しているということや、子宮蓄膿症の場合には黄体遺残(黄体がなかなか退行しないこと)が起こりやすいことが知られています。また、卵胞嚢腫の場合には、子宮内膜炎の併発が多いことが知られています(松本獣医師のコラム:卵胞嚢腫が多発します治療法への誤解をなくす2)。これは、子宮内で放出されるエンドトキシンによりコルチゾルが分泌され、LH放出が抑制されるためだと説明されています。
このように卵巣と子宮は互いに影響しあっているので、必ず両方の確認が必要となります。

小規模の農家さんではフレッシュチェックをおこなっていない場合もあると思います。特に問題がなければ今まで通りで十分ですが、繁殖成績が良くないと感じる場合には、リスクの高い個体(難産、双胎、胎盤停滞、分娩後のBCS低下など)については早めに状態を確認し、早期の治療を実施することでその後の受胎への悪影響を軽減できます。

「フレッシュチェックで確認すること」まとめです。
・分娩後およそ1ヶ月でおこなう。リスクの高い牛は定期的なモニタリングが重要。
・卵巣機能の回復の評価:黄体の存在を確認する。
・子宮修復の評価:腟内貯留物およびエコーにより子宮内貯留と子宮内膜の腫脹の程度を確認する。
 
 
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