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藤田真千子のコラム
No.12 フレッシュチェックで確認すること④ エコーによる子宮修復評価

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2021年12月2日

エコーによる子宮の評価は、現場で非侵襲的に簡単に行えます。エコーを使い始めたという農家さん参考に少しでもなれば幸いです。

まず、子宮のエコー画像の見方です。
内側から、子宮内膜、血管帯、子宮筋層となります。画像では子宮内膜表面を白い線で、血管帯を黄色の線でなぞっています。点と点の間が1㎝を示しています。

エコーによる修復の評価は、主に子宮内膜の腫脹、子宮内貯留の確認によりおこなわれます。それぞれ、小山ら2012の報告を参考にスコアを示しています。以下の画像は分娩から30日前後の乳牛の子宮です。どれも非発情期です。
子宮内膜の腫脹
スコア0:腫脹なし、ヒダとヒダが密着、先鋭
スコア1:腫脹あり、ヒダとヒダの間に隙間あり、先端は鈍
分娩後30日以上でスコア1を示す牛は繁殖成績が低下するとされています。

子宮内貯留
スコア0:エコージェニックラインなし、小エコージェニック
スコア1:強エコージェニックライン
スコア2:吹雪状の貯留物が多量に存在
分娩後40日でスコア1以上を示す牛は繁殖成績が低下するとされています。子宮蓄膿症(スコア2右上の画像)の場合は、黄体が退行せず子宮頚管が閉鎖することで、大量の膿貯留が持続するため早めの治療が必要です。

※エコージェニックラインとは?
超音波の反射が強いことを表し、画像上では白く描出されます。悪露が内膜に付着している場合、炎症により子宮内膜上皮が肥厚している場合、内分泌環境の変化により子宮内膜上皮が肥厚している場合などに起こります。
 
 
ひとつ気を付けなければならないのが、発情前後です。
発情前後は、頸管・腟粘液の分泌亢進により子宮内に粘液が貯留していることがあり、子宮内腔は無エコー性にみえます。また子宮内膜の腫脹もみられます。まずは発情の前後ではないか確認後(子宮の収縮感・黄体の有無)、子宮の修復評価をおこなうとよいと思います。

以上より、分娩後30日では子宮内膜の腫脹・粘液スコアを注視し、分娩後30日以降ではこれらに加え貯留スコアを注視する必要があります。
 
 
今週の動画
「臍膿瘍 切開と洗浄 その2【Umbilical abscess 】【Incision and cleaning】episode 2」

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