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No.11 フレッシュチェックで確認すること③ 分娩後子宮修復の評価 |
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2021年11月25日
子宮修復が遅れる原因には、難産、胎盤停滞、エネルギー不足やストレスによる免疫低下などがあります。修復が遅れると受胎率低下や分娩間隔の延長につながることから、分娩後の子宮のモニターが重要とされます。
<子宮修復の評価>
修復の遅延は膿性の腟内貯留物、子宮内膜における好中球の増加により定義されており、その後の繁殖成績が低下することが知られています。修復の遅延を判断し治療を始める時期については、30~40日が推奨されています。早すぎる診断は正常な修復過程のものも含み、無駄に治療することになります。一方で遅すぎると、病態が悪化し修復に時間がかかってしまいます。
現場では、
・直腸検査による子宮サイズの確認
・腟内貯留物の性状(外陰部から垂れている粘液も)
・エコーでの子宮内貯留物、子宮内膜の腫脹の程度
により、修復の評価が行われています。
※膿性の腟内貯留物は頸管炎や腟炎の場合にも発生するので、汚い粘液が見られてからといって、すべてが子宮疾患というわけではありません。
~腟内貯留物性状の評価~
腟内貯留物スコア
0:粘液無し 1:透明または半透明
2:膿の薄片が混ざっている
3:膿の混入が50%未満
4:膿の混入が50%以上
5:膿の混入が50%以上+悪臭あり
分娩後30日でスコア3以上の場合、その後の繁殖成績は低下すると言われています。
スコア2については繁殖成績に悪影響であるという報告と、影響はないとする両方の報告があります。このため少なくともスコア3以上である場合、修復が遅延していると判断できます。

今週の動画
「Application of Lateral Episiotomy in Bovine Deliverye ( No 2 ). 牛分娩時の陰部切開法(その2)」
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