(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤田真千子のコラム
No.10 フレッシュチェックで確認すること②

コラム一覧に戻る

2021年11月18日

前回は分娩後の卵巣機能の回復についてお話ししました。
乳牛、肉牛ともに30-40日の時点で黄体がなく、まだ初回排卵が起こっていないと考えられる場合には、低エネルギー状態にあることが考えられます。どの時期の栄養状態が影響するのかというと、特に分娩前のエネルギー不足が問題となることが分かっています。分娩後の卵巣機能回復を早めるには、乾乳期の栄養状態を良好に保つことが大切です。

次に分娩後の子宮の修復についてみていきます。
<分娩後の子宮修復>
分娩直後の子宮の妊娠角は、非妊角と比べ著しく拡張しています。しかし、子宮に異常がなければ、修復は以下のように急速に進みます。

分娩直後     :子宮内で強力な炎症反応がおこる(修復に必要)
分娩後14~18日:悪露の排出が消失
分娩後 約30日 :子宮角が妊娠前の大きさに戻る
分娩後40~45日:子宮内の細菌の排除が完了する
(Sheldon et al., 2008、獣医繁殖学)

このように分娩後の初回排卵・子宮修復は分娩後45日頃までには完了し、早いものではこの時期から受胎が可能です。しかし乳牛では分娩後60日頃に約40%の牛で子宮の炎症が残っているとされます。このため、実際に多くの牛が受胎できるようになるのは分娩後60日以降になります。

肉牛では乳牛に比べ、子宮の修復は早いと言われています。また自然哺乳の母牛では、早期離乳の母牛に比べて修復が早くなるという報告もあります。これは、哺乳によりオキシトシンが分泌され子宮収縮を促進するためだと考えられています。

つづく
 
 
今週の動画
「牛の歯について(Cattle Teeth)」

|