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お産の話−41 「まずは栄養管理(2)」 |
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2008年7月16日
難産になるから、分娩前は母牛の餌を減らす?
「小さく産んで大きく育てる」 これは、昔からお産の理想のかたちとされてきた表現です。たしかに過大仔は難産の原因になりえます。しかし、この飼養管理には大きな落とし穴があるのです。 まず、皮肉なことに、難産を避けるためにお産の前は母牛の餌(特に濃厚飼料)の量をひかえている、という農家さんちでも、やっぱり難産が発生します。しかも、産まれてくる仔牛のサイズにかかわらず、です。
それとは逆に、分娩前の栄養管理がうまくいっているところでは、たとえ40kg台後半の大きな仔牛(和牛)でさえも自力で難なく娩出します。これはどういうことでしょうか。
蓮沼先生の一番はじめのコラムの第4話「難産が怖い!!」をまだ読んでいない方は、ぜひ一度読んでみてください!とってもわかりやすいので・・・。
つまり分娩前の母牛は、自分が日々生きるのに必要な栄養と、仔牛が健康的に発育するのに必要な栄養、そしてその仔牛に良質なお乳を提供するための乳腺を発達させるのに必要な栄養とを確保しつつ、来るべき「生死をかけた大仕事」のためのエネルギーを蓄えなければなりません。それを、妊娠していないときと同じ量の餌や、さらには減量した餌から確保するなんて、無理というものです。栄養不足の母牛は体力がなくてここ一番の踏ん張りがききませんし、ビタミン・ミネラル不足で陣痛もまともに起きず、結果的に仔牛のサイズにかかわらず難産になってしまいがちなのです。

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