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お産の話−42 「まずは栄養管理(3)」 |
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2008年7月23日
母牛の栄養管理が大切だというのにはあとふたつ理由があります。
母牛の仕事はお産で終わりではないですよね!良い母乳を仔牛に提供すると同時に、次の仔を妊娠するという仕事が待っています。そしてこのふたつの仕事は、分娩前からすでに始まっているんです!ということは、分娩前の栄養管理が繁殖農家さんの経営を握っているといっても過言ではないわけです。
まず母乳との関係。ご存じのように、母乳の原料は母牛の血液です。たとえ餌が足りなくて栄養摂取が不十分でも、母牛は(文字通り)自分の骨身を削ってお乳を作ります。母牛が痩せながら作ったお乳というのは、悲しいことに仔牛にとってよくない(消化しにくい)成分であることがわかってきています。母乳の質が悪くて仔牛が下痢をするパターンのほとんどにこういった背景があります。
それからもうひとつ、一年一産を達成するために、分娩後40日(初産の牛では60日)までに一回目の種付けをしましょう、というのが一般的ですが、ちょうどその時期の卵胞というのは、そこからさかのぼってだいたい一ヵ月半ほど前、つまりちょうど分娩直前に眠りから覚めた卵胞なのです。発情がこない、きても授精師さんにいい卵じゃないから種付けできないと言われる、という問題は、実は分娩直前の栄養管理に解決法が隠れているかもしれません。

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