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松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その17

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2015年8月24日

 以前、少しだけ書かせていただいたのですが、「中国の牛が良くなったら、日本の牛は危ないんじゃないの?」というお問い合わせをいただきましたので改めて、僕が中国で牛を飼う動機を書いておきましょう。

 牛肉輸入自由化が始まって、F1の値段がかなり低下し、技術論では助けられないな、と考えていた矢先中国の発展と中国での牛肉消費を喚起すれば、世界的に牛肉不足が起こるので、日本に輸入される分が激減するから、と教えてくれた人がいました。そこで、すぐに中国に渡って活動をはじめたわけです。広大な中国には「口蹄疫」も散在するので、決して日本には輸入できないことも見越してです。詳しくはコラム「中国牧場奮戦記」の初回をご覧下さい。

 さて、ようやく牛さんも落ち着き、中国での牛飼い開始です。でもその前に、僕の中国での防疫体制についてお話ししておきましょう。
みなさんも、「中国って口蹄疫とか大丈夫なのか?」とご心配でしょう。

 僕は中国出張向けの衣服、現場で使うカメラ、iPad、ノート、ペン、鞄、などすべて国内で使用する物と分けています。もちろん、世界のどこで口蹄疫が発生しているか、竹ちゃんがいつも目を光らせてくれています。
 中国に着くと、さらに中国国内用の衣服を着て、中国国内用の靴に履き替えて、牧場ではさらに着替えた上に抗ウイルスのタイベックスーツ、ブーツカバーをつけた上から長靴を履き、手術用手袋とゴーグルをつけ、N95マスク(抗ウイルス規格の1つです)を2重に重ねてつけます。さすがに37℃とかの時はこの格好はつかれますよ。1日で2kg痩せたい方にはお勧めです(笑)。

 そして現場に入ったあとは、ノートもデジカメで撮影してデータだけメールで送って、現物もペンも牧場に残してきます。

 その後、ホテルでスーツケース(実際には牧場に持ち込んでいませんが、心理的に不安なので)と中国国内活動用の靴を消毒します。使うのはビルコンの100倍液!(バイエル社の方からはちゃんと「危険なのでそんなに濃くしないで下さい」と注意されてます)

 そして、自分自身の消毒もビルコンの100倍液(さすがに100倍液はたくさん作れないので、バスタブに100gのビルコンと10リットルの水を入れます)で頭から全身を消毒します。さすがに目に入るとしみますが、安心感が違います。
 これは他の牛飼いさんにも守っていただきたいのですが、帰国したら必ず動物検疫に立ち寄って行動内容をしっかり報告なさって下さい。僕は毎回これをやっているので、みなさん顔なじみになってしましました。

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