(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
伏見康生のコラム
NO.321:熱中症にはキンキンのドリンクをその1

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2015年8月5日

熱中症の治療に関して、2011年の同時期にもコラムを書きましたが、そのころから実施している効果的な治療法があるのですが記載していませんでしたので、ここで紹介いたします。
(熱中症の発症機序やリスク要因に関しては飛ばさせていただきます。)

当時のコラムにも書いておりますが、とてつもない体積の肥育牛(あるいは過肥牛や大きな成牛)に対して、扇風機を当てる、水をかける、氷枕を乗せるといった処置はそのどれもが体表のみを冷やす程度にとどまっています。したがって根本的な冷却効果も期待できませんし、さらに言えば、中途半端に体表を冷やして毛細血管が収縮してしまってはかえって放熱の妨げをしていることさえ考えられます。

そこで私が現在熱中症治療でメインに行うのが、深部体温の冷却を目的とした冷水(氷水)の一胃内大量投与です。
真夏にスポーツをして、体中から熱を発している、かつ脱水している、そのときに冷たいポカリをガブ飲みする・・・アレです!
(そのほかにも薬剤を用いて獣医師が行う効果的な治療はいくつもありますが、今回のコラムではあえて氷水の投与という一処置のみをフューチャーしてその効果を取り上げています。これだけでいいと言いたいわけではありません。)

早速はぁはぁ言ってる牛がいました。
まずは写真で効果を見てください。

BEFORE (14:18)
呼吸数72、体温40.67℃

40Lの氷水を経鼻カテ(φ16)でズバッと投与

「極楽~(なはず)」

AFTER 約90分後 (16:01)
呼吸数 48、体温 39.62℃

ばっちり効いていますね!
さらに時間がたてばもっと全体に解熱して楽になることでしょう。
では、次回にはもう少し詳しく氷水の投与量と下熱幅の関係をお話します。

つづく

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