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ビタミンDに関する最近の情報

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2025年9月22日

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 シェパードでは、長年にわたってV4処置(旧 肺炎後処置)を提唱してきました。(確認できるもっとも古いコラムでは2015年12月14日のものが見つかりました。https://www.shepherd-clc.com/archives/8835

 臨床やコンサルテーションの現場で、慢性肺炎やその後引き起こされる骨軟症やタンパク同化能の低下(がりがりにやせてしまうような状態)の改善に、ビタミンAだけでなく、ビタミンDを併用したほうが、肺炎の後遺症ともいえる骨軟症やタンパク同化能低下に対する改善効果が著しく高いと感じていて、自分のコンサル先などから普及をしていったものです。

 以前は、ビタミンDは骨の健康維持に不可欠な栄養素としては知られていましたが、その他の働きが証明されてきたのはつい近年のことです。知られていたようにビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を促進し、骨密度を維持することで、骨粗鬆症のリスクを軽減します。しかしコロナの流行により、ビタミンDが免疫細胞の活性を調節し、感染症に対する抵抗力を高めるという研究が加速的に進みました。
 近年の研究では、ビタミンDが、心血管疾患、糖尿病、がんなどの慢性疾患のリスク軽減にも関与する可能性が示唆されています。

 日本の肥育牛において、僕がビタミンDの不足を懸念しているのは、ビタミンDはその前駆物質(材料)の合成に日光の紫外線が必要なのですが、舎飼いの牛は直射日光を遮られて飼育されているためです。透明アクリル板でさえ紫外線をカットしてしまうのです。有名な話に「インド人の夫婦がイギリスで子供を産むと歯が生えない」というものがあります。インドの人は、インドの自然の強力な紫外線でビタミンDを合成するようになっているため、イギリスの曇りがちな天候の下では十分なビタミンDの合成ができないのです。もちろん外部からビタミンDを給与すると、この子供にもきちんと歯が生えてきます。同様に、日本の牛は日本の屋外の紫外線量が必要なのだと僕は考えています。
 牛の健康管理のためにも、びたみんDの重要性を再認識してみましょう。ただし、ビタミンDは、過剰投与によるカルシウム結石析出などの危険もありますから、V4処置の記事なども参考になさっていただければと思います。
 
 
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今週の動画
受精卵移植(ET)の子宮の操作方法

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