2015年12月14日 ここのところ、気温が急変していきなり真冬か?と思うと、また急に暖かくなったり、牛さんも(オジサンも)体調を崩しやすい変な気候です。「異常気象」などと呼んでいた頃が懐かしいくらい、毎年・毎季節ともに「異常」です。 以前もお話ししたとは思うのですが、僕たち獣医師がもっとも嫌いな病気は「肺炎」です。この病気だけは、牛さん独特の大変さがあります。まず、人間でしたら、肺炎さえおさまればどんだけ痩せても「治った」といいますが、牛さんのような経済動物の場合は、肺炎がおさまっても「太っていかなければ治ったと言えない」という点です。 それから、人間は肺は右と左に分かれて2つで、大きな気管が両側に分かれていますが、牛さんの肺は、左が前葉(前部・後部)と後葉(人間も厳密に言えば、気管支がさらに分岐して3つの部分に分かれています)、そして右には前葉(前部・後部)・中葉・後葉の他に、前葉に別れた気管支から「気管の気管支」という特別な気管支が分かれて「副葉」という人間にはない部分があるのです。この気管の気管支は細いので、吸い込んだ空気の速度が速くなり、バイ菌が深くまで運ばれてしまうのです。 肺炎の予防にはワクチンを使って免疫を上げる、ビタミンやミネラル、アミノ酸を十分に与えて抵抗力をつける、なるべく乾燥して暖かい床を管理する(お腹が1℃冷えると免疫が8%も低下するといいます)などの措置をとります。そして肺炎を起こしてしまったら、治療は主に抗生物質(これはバイ菌やマイコプラズマには効果がありますが、ウイルスにはまったく効果がありません。)や消炎剤、」ビタミンB群などで体力をつける、などの処置をします。 しかし、肺炎にかかってしまうと、その後ガリガリになってなかなか増体が回復しない牛さん(特に子牛)がいます。 |