(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その24~中国経済がぁぁっっ!~

コラム一覧に戻る

2015年12月7日

 せっかく前回お話ししたような高品質で、高く売れる牛肉の生産も順調になってきた矢先、中国経済の下揺れが感じられるようになってきました。

 経済学者はいろんなことを言っていますが、実際に中国に足を運んでいる身としては、実体経済の下降を肌で感じていました。僕自身の実感としては、習近平首相が汚職追放の名の下に役人(日本で言うと政治家と官僚でしょうか。中国はその辺が渾然としているので..)の贅沢や接待を禁じた頃から、中国経済の景気が悪くなってきたように思います。投機目的にマンションを買ってはいけない、とか、すでにいくつもマンションを持っている物は売ってはいけない(つまりマンション投資したのに回収できません)、とか日本で言うところの官官接待の禁止とか、そういうことを次々に打ち出したのです。

 こういうのって、しばらくは民衆受けも良いのですが、社会全体の金回りが悪くなってくると、回り回って一般大衆の暮らしも苦しくなってきます。実際に、僕のクライアントの焼き肉屋さんもすでに10%程度客入りが悪くなっています。客入りが悪くなると、客単価も自然と下がります。
 もともと僕がSARSの中、中国で日本式の焼き肉を普及させたい!という想いでチンタオに渡ったのは、中国経済が順調に伸びて世界有数の大国になるという思惑があった(図1)からです。その時に本場日本の「和牛」を売り込みたかったのです。


(図1)

 でも、現在クライアントからの新しい要求は、「ここまで良い肉でなくても良いので、コストを半分にして欲しい」というものです。
 あーあ、なんだかなぁ。

 しかしこれは、対岸の火事ではありません。日本は人口減少と景気低迷、おそらくは来年1月から輸入再開される外国牛、数年内に締結される(今のところ「大筋合意」ですが..)TPPの影響、決して将来を楽観視できません。みなさんも、あらゆる事態に対処できるように考えておかなければなりません。今、答えはなくとも「考え続ける」ことが大切です。思考停止に陥り惰性で市場に流されていては浮かぶ瀬もなくなります。

 

|