(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
橋本匠護のコラム
カビ毒検査の事例 ~可能性が低いなら低いでOK編~

コラム一覧に戻る

2025年9月12日

***********************************************************
尿でわかる!マイコトキシン検査のご案内
詳細は こちら をご覧ください。
***********************************************************
 
 
蓮沼先生のコラムでも紹介されていますが、尿を用いたカビ毒検査のサービスがスタートしました。そこで今回のコラムから、私が過去にカビ毒検査を実施した事例を紹介したいと思います。

今回は、「受胎率低下」に悩まれている農家さんでカビ毒検査を実施した話です。さて、受胎率低下の原因は様々です。母牛の栄養状態、飼養環境、遺伝的要因、暑熱ストレス、潜在性子宮内膜炎などの潜在性疾病、カビ毒などなど。ということで原因を探るために、農家さんに聞き取りをしながら、母牛や飼養環境、飼料をチェックしていきます。結果、ボディコンディションスコアがやや高めではありますが、これが原因だ!というものはありませんでした。

そこで農家さんの希望もあり、尿を用いたカビ毒検査(ゼアラレノン、デオキシニバレノール)を行うことになりました。「検査結果次第では、吸着剤などのカビ毒対策を検討したい!」とのことでした。

検査の結果、「尿中のカビ毒濃度は低い」という結果になりました。今回の受胎率低下にカビ毒が関与している可能性は低いということです。つまり他の要因が関与している可能性が高いため、今回の農家さんには代謝プロファイルテストを提案し母牛の栄養状態を今一度確認してもらうことにしました。

また今回の結果から、こちらの農場でのカビ毒吸着剤の優先度は高くないといえます。もちろんカビ毒吸着剤の中にはカビ毒だけでなくエンドトキシンの吸着作用など他の効果をうたっているものもありますので、カビ毒の関与が低ければ使わなくて良いというわけではありません。このあたりは費用対効果を見つつ、使用を検討していただければと思います。

今回のように検査を実施することで、要因を一つ消すことができるというのは非常に良いです。結果にあわせて、より効果的な対策をうつことが出来るためです。また今までよりも安心して、飼料を給与できることもメリットです。検査の結果、カビ毒の可能性が低いなら低いでOKということです。

一つ注意点は、今回のカビ毒検査でカビ毒濃度が低いからといって、今後も全く気にしないで良いというわけではないということです。粗飼料の圃場や刈り取り方法、保存方法などによって飼料中のカビ毒濃度は変化します。ときには飼料タンク内にカビ毒の原因が潜んでいることもあります。そのため検査後も気になった際は、可能であれば獣医師と相談のうえ再検査をおすすめします。


 
 
***********************************************************
今週の動画
ぞろぞろ???

|