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加地永理奈のコラム
BVDに有効なワクチン①

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2024年10月30日

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牛ウイルス性下痢(BVD)について、前々回のコラムで「BVD・PI牛の見た目」をご紹介しました。
農場で出来る対策として、BVDに有効なワクチン接種が必要不可欠です。
その中で家畜保健衛生所の方から推奨されたのは「ボベラ」というワクチンです。
なぜなら持続感染(PI)牛の出生を予防できると謳っているのがこのワクチンだけだから、とのことです。

ということで、ボベラを販売しているゼノアックさんにご相談したところ、ボベラを制作しているベーリンガーインゲルハイムの小野山先生から詳しくお話を伺うことができました。

ボベラの特徴は
① BVDに対する生ワクチンとして妊娠牛にも投与できる
② 持続感染(PI)牛の出生を予防できる
という2点が今までと大きく異なるところです。

BVDに有効なワクチンは、これまで呼吸器系のワクチンに一緒に含まれる形で流通しており、現在、生ワクチンとして2種類、不活化ワクチンとして3種類の販売があります。

生ワクチンは、1回接種で長期間の効果が得られることが利点ですが、毒性が弱く残っているものであるため、これまで若齢子牛と妊娠牛に摂取するにはリスクがありました。
妊娠牛においては、リスクというより禁忌で、間違って接種してしまうと、その親牛からPI牛が発生するか流産してしまいます。

一方で不活化ワクチンは、簡単に言うとその毒性をなくしたものなので、取り扱いが比較的容易ですが、効果を得るには2回の接種が必要です。

それぞれ利点と欠点があるため、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

これに対してボベラは、呼吸器系のワクチンと混合ではなくBVDに対する単独のワクチンですが、生ワクチンであるため1回の接種で1年間の効果が見込め、かつ妊娠牛に投与してもPI牛発生や流産のリスクがない、というものです。
BVDは胎盤を介して子牛に感染してしまうウイルスなので、妊娠牛で大きな問題となります。
しかしボベラに含まれる弱毒化BVDウイルスは胎盤を通過しないようにできているから、妊娠牛でも投与可能になっている、という仕組みだそうです。
 
今週の動画
牛かラクダか?

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