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加地永理奈のコラム
BVDに有効なワクチン②

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2024年11月6日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
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前回の続きです。
ボベラ」という牛ウイルス性下痢(BVD)のワクチンについて、具体的な使用例も小野山先生に教えていただきました。

例1)牛呼吸器病(BRD)の混合生ワクチンを30日齢で1回、170日齢でボベラを1回
子牛には従来通り混合生ワクチンを1回接種します。
この混合生ワクチンにはBVDも含まれますが、子牛の時期は他に含まれているIBR等の牛呼吸器病のまん延防止が目的です。
その後、繁殖用の育成牛には初回授精前にボベラを1回接種します。
この時期のワクチンはBVD対策が目的ですが、これまでは呼吸器病の混合ワクチンにBVDが含まれていたため、呼吸器病の好発時期ではない育成牛にも、子牛と同じワクチンを接種していました。ボベラはこれに置き換えて、BVDのみをターゲットに接種することができます。

例2)牛呼吸器病(BRD)の混合不活化ワクチンと同時に接種
不活化ワクチンのプログラムで行っていた場合でも、それと同時に(年1回)ボベラを接種することが可能です。
これまでの牛呼吸器病不活化ワクチンにもBVDが含まれていましたが、実は現在流行しているBVDの型とは違う型のものもあります。現在国内で流行しているBVDの型に合わせて作られているボベラを追加で接種すると安心です。

例3)毎年の異常産ワクチンと同時に接種
繁殖牛への異常産ワクチンの一斉接種と同時にボベラを接種することも可能です。初回授精前に1回投与した後は、妊娠の有無にかかわらず年に1回接種を続けることで、確実に牛群全体に免疫をつけることができます。
さらにボベラ接種によるPI牛の発生は0%との報告もあるため、出生子牛のBVD検査を省略することも可能になります。

現在様々なワクチンがあり、しっかりしたワクチンプログラムを実施されている農場が多いと思いますが、その中にも組み込めるようなボベラの特徴と使用例を教えていただくことができました。

小野寺先生、日本全薬工業の山崎さん、ありがとうございました。
 
今週の動画
分娩前の尾根部チェック

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