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OPU事前検診① |
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2024年9月25日
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OPUを予定している母牛に対して、事前検診というものをなるべく実施するようにしています。
OPU当日に初めて直腸検査をすると、子宮から膿が出ていたり、卵胞嚢腫になっていたり、卵子数がとても少なかったり、ということがあったからです。
事前検診で確認するポイントは
① 子宮の状態
② 卵巣の状態
③ ボディコンディションスコア
以上が主な3点です。フレッシュチェックで確認することと似ています。
① 子宮の状態
子宮の状態を直腸検査で触り、エコーをあてて子宮断面を確認します。
子宮内膜炎がある場合は、今OPUを実施するには不向きです。
実際に分娩から1か月経過したくらいでOPUを実施すると、最終的に凍結受精卵になる割合が低くなってしまうことが多いのですが、この背景には子宮内膜炎があると考えられます。
子宮内に細菌が残っていると、細菌から放出されるエンドトキシン(LPS)が血中にのって卵胞へ移行し、卵子にもダメージを与えてしまうためです。
さらに子宮から排膿があった場合には、OPUは実施せず治療を優先します。
OPUは腟壁から卵巣に向かって針を刺して卵子を吸引する作業です。
腟にまで膿が出てきている状態でやると、細菌の塊を腹腔内に針で押し込んでしまいますし、卵子を吸引できたとしてもおそらく細菌と一緒に培養してしまうことになります。
分娩後1か月ではまだ8割近くが正常の子宮内膜に戻っていないと言われています。
エコーでも一見わからないが詳しく検査すると細菌と炎症が残っているような「潜在性子宮内膜炎」というのもあるため、子宮の回復状態を考慮すると、分娩後は2か月経ってからOPUするのをおすすめします。
今週の動画
蹄葉炎の症状
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