2024年7月26日 **************************************** 前回のコラムで、環境温度が高い場合、牛がそれをストレスと感じ、暑熱ストレス状態となります。それでは、暑熱ストレスの状態とはどのようなことを指すのでしょうか。 私たちは呼吸をするために空気中の酸素を取り込みます。これは、体中の細胞でエネルギーを産生するために酸素が必要だからです。体内に取り込まれた酸素は、代謝過程で一部が活性酸素種になります。この活性酸素種は生命維持に重要な働きをしますが、過剰になると酸化ストレスに陥ります。正常な状態では生じた活性酸素種は抗酸化能によって消去されますが、生体内の抗酸化機能で除去しきれなくなると、過剰な活性酸素種が核酸やタンパク質、脂質を酸化して損傷を与えてしまうのです。 暑熱下で牛は発汗し、さらに呼吸数を多くすることで体内の熱を逃がそうとします。呼吸数が多くなると体内に取り込まれる酸素の量が多くなり、そして活性酸素種の発生が増加します。つまり、酸化ストレスが増えるのです。 このように、活性酸素種は細胞にダメージを与えるため、暑熱時にストレスの本態を担います。しかし、細菌に感染すると活性酸素種は第一線で活躍する重要な殺菌機構です。問題は過剰な活性酸素が発生することです。 酸化ストレスについてはこちらのコラムもご参照ください。 今回は暑熱ストレス状態の1つとして酸化ストレスについてお話しました。 |