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藤﨑ひな子のコラム
暑熱2

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2024年7月26日

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 夏休みに入って、日中も子供たちを見かけることが増えましたね。こんなに暑いのに、元気なのがうらやましいです。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

 前回のコラムで、環境温度が高い場合、牛がそれをストレスと感じ、暑熱ストレス状態となります。それでは、暑熱ストレスの状態とはどのようなことを指すのでしょうか。
 暑熱ストレスを受けることで、牛は体内で「酸化ストレス」が増加します。
 酸化ストレスとは、「活性酸素種(Reactive Oxygen Species;ROS)」という細胞を傷つける作用のある分子が過剰に存在している状態です。

 私たちは呼吸をするために空気中の酸素を取り込みます。これは、体中の細胞でエネルギーを産生するために酸素が必要だからです。体内に取り込まれた酸素は、代謝過程で一部が活性酸素種になります。この活性酸素種は生命維持に重要な働きをしますが、過剰になると酸化ストレスに陥ります。正常な状態では生じた活性酸素種は抗酸化能によって消去されますが、生体内の抗酸化機能で除去しきれなくなると、過剰な活性酸素種が核酸やタンパク質、脂質を酸化して損傷を与えてしまうのです。

 暑熱下で牛は発汗し、さらに呼吸数を多くすることで体内の熱を逃がそうとします。呼吸数が多くなると体内に取り込まれる酸素の量が多くなり、そして活性酸素種の発生が増加します。つまり、酸化ストレスが増えるのです。

 このように、活性酸素種は細胞にダメージを与えるため、暑熱時にストレスの本態を担います。しかし、細菌に感染すると活性酸素種は第一線で活躍する重要な殺菌機構です。問題は過剰な活性酸素が発生することです。

 酸化ストレスについてはこちらのコラムもご参照ください。
 和牛生産における受精卵移植技術の活用(⑪酸化ストレスと抗酸化能について) | 有限会社シェパード中央家畜診療所 (shepherd-clc.com)

 今回は暑熱ストレス状態の1つとして酸化ストレスについてお話しました。
 次回は「リーキーガット」についてお話します。
 
 
今週の動画
カビ毒

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