暑熱1
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2024年7月19日
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九州南部は梅雨明けし、毎朝セミの鳴き声で起こされます。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
もうすでに夏ですね~。暑さによって、人もウシも様々な不調が現れます。今回のコラムから、数回にわたり、「暑熱」に関連する話題を提供しようと思います。
まず、第一回目は、「体温調整機能」についてです。
生き物には、それぞれの動物種や年齢、用途などによって好ましい温度(=至適温度)が異なり、それを大きく外れた環境では体の維持機能が崩れ、生産性の低下や疾病の発生につながります。
それぞれの至適温度を用途、年齢別で見てみましょう。
さらに、黒毛和種雌牛はホルスタイン種よりも耐暑性に優り、耐寒性に劣るといわれています。
家畜の体感温度は気温だけでなく、湿度、風速、換気方法などの影響を受けます。
牛も人も恒温動物といって、体温を一定に保つことができますので、環境温度が変化して至適温度を外れると、熱産生もしくは熱放散をすることで体温調節をします。
こちらの図を見てみましょう。
赤線は体温を、青線は体温産生数を表します。体温が一定の領域を、体温恒温域といいます。図を見ると、寒冷環境、暑熱環境でも体温を一定に保てますが、環境温度が下がりすぎたり上がりすぎたりすると、体温も環境温度に伴って変化することがわかります。
そして、寒冷・暑熱の感覚が生じず、最小限の体温調節機構の働きで体温を維持できる温域を快適温域、それと同じくらいのわずかな発汗などで体温を維持できる温域を熱的中性圏といいます。熱的中性圏を外れると、熱を産生したり放散したりすることで環境温度に順応します。
牛の体内では、エネルギー代謝やルーメン発酵などに伴い、常に大量の熱が産生されています。成牛の場合、このような熱をいかに体外に放出するか、環境温度をいかに下げるか(暑熱環境にしないか)が重要となります。
熱の放出には以下のような方法があります。
① 放射:体に接触していない物体間の電磁波による熱の移動
② 伝導:接触する物質間における熱の移動
③ 対流:自然対流や強制対流による空気や水への熱の伝導
④ 蒸発:発汗や不感蒸散(呼吸)による熱の移動
⑤ 唾液、尿、排泄物として体外に排出
体温調節には牛自身の熱産生・放散の他に、環境温度も重要であることがわかりました。それでは、環境温度が高い場合、牛はそれをストレスと感じます(=暑熱ストレス)。暑熱ストレス状態の牛はどのような状態なのでしょうか。
次回のコラムでは、「暑熱ストレス」についてお話します。
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