(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤﨑ひな子のコラム
尻尾の解剖

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2024年6月14日

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 ついに北薩も梅雨入りしました。最近はジメジメとした湿度の高い日が多く、べたつきます。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

 前回までのコラムで、突然の尻尾の出血についてお話してきました。過去の加地先生のコラムにもありますが、実はウシの尻尾がちぎれてしまうことは少なくないのです。
 今回のコラムでは、尻尾の解剖学的構造についてお話ししようと思います。

 尻尾を触るとごつごつとしています。これは、尻尾を構成する骨である尾椎(びつい)です。ウシの尾椎は18~20個あり、個体差があります。この尾椎という骨の腹面(尻尾を持ち上げたら見える面)に尾動脈という動脈と、尾静脈という静脈が走行しています(図)。このように血管が走っているので、尻尾が切れると出血してしまうのですね。また、黒毛和牛ではなかなか見る機会がないかもしれませんが、ホルスタインなどでは獣医師が尻尾から採血することがよくあります。これは、尾静脈から採血しているのです。

 ウシは尻尾を使って虫を追い払ったり、排泄するときは尻尾をグイっとあげたりしますよね。これは、筋肉と神経が存在しているからなのです。尻尾の筋肉は、尻尾の挙上や下制に関与する背側/腹側仙尾筋、尻尾の外転に関与する尾骨筋、尾横突間筋があります。尻尾の筋肉や皮膚に分布する神経は尾骨神経といいます。

 尻尾はなかなか注目する機会は少ないと思いますが、尻尾にも重要な機能があります。先ほども述べたように、虫を追い払うだけでなく、尻尾の状態で健康状態を推察することもできます。しきりに尻尾をあげて排尿姿勢をとっている子牛では尿膜管遺残を疑ったり、こちらをじっと見ながら尻尾を振っているウシを見たら、警戒しているのかな、とウシの気持ちがなんとなく考えたり、、尻尾から意外といろいろなことがわかるのです。ぜひ尻尾も観察してみてくださいね。
 
 
今週の動画
OPU機材で卵胞嚢腫を吸引

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