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藤﨑ひな子のコラム
尾力

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2024年6月21日

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2025年卒獣医師採用について
(有)シェパード鹿児島本所(鹿児島県阿久根市)、栃木支所(栃木県那須塩原市)ともに獣医師を募集しております。
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 日中の気温も30℃を超えるようになってきました。皆さんも牛も熱中症にはお気を付けください。

 前回のコラムでは、牛の尻尾を見ることでいろいろな状態がわかる、ということをお話しました。今回のコラムでは、その中でも「起立不能」の診断の補助に尾力の有無が大事、というお話をします。

 起立不能となってしまった牛がいた場合、みなさんは何を思いますか?
 何が原因か?治るか?どうやって治療するか?
 明らかな原因が見当たらい場合、獣医師はまず「治療するか?しないか?」の選択をしなければなりません。この選択をする際に軸となるのは、神経が損傷しているか、していないか、です。例えば神経が損傷している場合、治療困難な場合が多く、緊急出荷をする可能性が高まります。しかし、神経でなく、筋挫傷や骨折が原因だと、治療可能な場合もあります。

 こうした判断に迫られた場合、一つの方法として、「尾力」を見てみましょう。尾力とは、字の通り尻尾の力、つまり尻尾を動かせるかどうか、です。前回のコラムで、尻尾には尾骨神経が尻尾の筋肉や皮膚に分布するといいました。この神経は、背骨の中を走る大きな神経から続いている神経ですので、尻尾よりも前側でもし神経が損傷した場合でも尾骨神経が機能しないのです。
 尾力あり(尻尾を動かせる)の場合、大きな神経以外の損傷(筋肉や骨)の可能性が大きいです。一方、尾力なし(尻尾を動かせない)の場合、神経損傷の可能性を疑います。先ほど述べたように、神経損傷の場合は治療困難なことが多いため、緊急出荷も視野に入れます。

 いかがでしたか?
 このように、尻尾の動きを見ることで神経の損傷を推測することができるのです。
 たかが尻尾、されど尻尾。牛の尻尾とも仲良くなりましょう!
 
 
今週の動画
尿路結石

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