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加地永理奈のコラム
尻尾がちぎれないように

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2023年4月12日

牛の尻尾の毛先ってトルネードしていますよね。あれって必ず右巻きの時計回りになっているらしいです。ご存知でしたか?私は先日初めて知って驚きました。
この話になったのも、農家さんで牛を眺めていたら、尻尾の先だけが敷料に落っこちていたのです。近くにいたのは親付けの和牛の親子でした。
サイズ的に子牛の方かな、と尻尾を確認すると、出血は止まっていたものの赤くなった先端が確認できました。
どうして尻尾の先がちぎれてしまったのか、農家さんと一緒に想像してみました。どこかに引っ掛けたか、裏山からキツネかタヌキかやってきて噛みちぎられたのでないか、親か自分で噛みちぎったのか、歯の構造的に牛が噛みちぎれることはないか、などと色々話しましたが、寝ていたところの尻尾を親が踏んでしまってちぎれたのではないか、という結論に達しました。
尻尾がちぎれる心配というのは、実はOPUのときにもあります。OPU中は、麻酔でだらんと脱力した尻尾がおしりにかからないように、尻尾の毛先をロープで結んで前方に固定しています。このロープを枠場に固定して解くのを忘れてしまうと、OPUが終わって牛を放したとき、牛の前進する力で繋がれたままの尻尾の先が簡単にちぎれてしまいます。
これを防ぐには、尻尾を結んだロープを枠場ではなく頭絡やネックなど牛の体自体に固定することです。直腸検査のとき、去勢のときなど、尻尾を保定するタイミングは他にもあると思います。牛の尻尾は意外とちぎれてしまうことがあるので、保定ロープは必ず牛の体に巻き付け、乱暴に扱わないようにしてくださいね。

 
 
 
 
今週の動画
BoviLab use 1 (現場でBoviLabを使ってみよう! その1)

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