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藤﨑ひな子のコラム
突然の出血2

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2024年6月7日

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 雨の日も多くなってきましたね。そろそろ梅雨入りでしょうか。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは、突然の出血の際に農家さんができる応急処置についてお話しました。今回のコラムでは、出血の応急手当の際に注意する点についてお話ししようと思います。

 牛から血が垂れている、床が血で汚れている場合、まず出血部位を特定しましょう。出血部位が尻尾や臍の場合は、出血部位よりも体幹側を少し太めの輪ゴムもしくは輪ゴムを3本で縛りましょう。
ここで注意点です。
 ① ゴムで縛る前に、可能であれば水で洗いましょう。出血(損傷)部位から細菌感染を起こしてしまうことが多いですので、しっかり汚れを落としましょう。
 ② 臍を縛る際、オスの場合は陰茎を巻き込まないように注意が必要です。陰茎を巻き込んでしまうと排尿できず、最悪の場合膀胱が破裂して死んでしまいます。

 ゴムで縛る期間としては、臍だと約1日、尻尾だと約3日です。前回のコラムで紹介した症例のように、動脈も損傷している場合は止血に時間がかかります。また、尻尾は動脈がしっかりと走っており、さらに座った時などは圧がかかるため血が止まりにくいです。そのため、ゴムを外す際はゆっくりと外し、血が止まっているかを慎重に確認しましょう。

 さらに注意すべき点としては「出荷規制」です。出血がみられた場合、止血剤と抗菌薬を投与すると思います。その際、患畜が出荷を控えていないか、緊急出荷が必要でないかを考慮しましょう。前回のコラムで紹介した症例は、出荷前の肥育牛であったため出荷規制のつく薬剤は使用しませんでした。

 出血の際に気を付けるポイントは、気が付いた時点で早急に止血すること、止血の際に清潔にすること、出荷規制を考慮することです。もしウシが出血しているのに気が付いた場合は、獣医さんを待っている間にできることを行ってみてはいかがでしょうか?しかし、治療方法・方針は獣医さんによって違うこともありますので、電話の際に「待っている間に止血しても大丈夫ですか?」と獣医さんに聞いてから実施してくださいね。
 
 
今週の動画
肥育牛の鼓脹症

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