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橋本匠護のコラム
予防しているのに、コクシジウム症発症?part2

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2024年6月3日

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コクシジウムに対する免疫を獲得するためには、以下のステップが重要ということを前回のコラムでは紹介しました。

1. 牛がコクシジウムに感染する
2. 体内でコクシジウムが増殖(発育)する
3. 抗コクシジウム剤を投与する
4. 免疫獲得!

まずは「1.コクシジウムに感染する」というのは当然大事ですが、「2.コクシジウムが増殖(発育)する」というのも重要です。口から入ったコクシジウムは、腸管の細胞に侵入し増殖します。この過程で体は「コクシジウム=異物(抗原)」と認識し、免疫の獲得に繋がります。そのためコクシジウムが体内に入った直後などに抗コクシジウム剤で駆虫してしまうと、体が十分に抗原として認識できていないためか十分な免疫を獲得できないことがあります。これについては、数面先生のコラム(https://www.shepherd-clc.com/archives/4553)でも紹介されています。


↑予防的投与タイミングと免疫獲得のイメージ

結論、抗コクシジウム剤を予防的投与しているにも関わらずコクシジウム症が多発しているような農場では、「予防的投与のタイミング」が適切ではない可能性があります。

そこで予防的投与されているのにコクシジウム症が多発するのであれば、投与タイミングを以下のように変更しても良いかもしれません。投与量は体重に合わせて、変更してください。

■ パターン1.
今までの投与時期より、1週ほど遅らせて予防的投与
■ パターン2.(コクシジウム症発症時期が集中している場合)
多発時期の1週前に予防的投与

必要であれば投与タイミングの変更した後も、コクシジウム症の発生状況に応じて投与タイミングを修正したほうが良いと思います。

牛ではありませんが、コクシジウムの免疫を十分に獲得したマウスは致死量の感染にも抵抗できるそうです。環境中のコクシジウムとうまく付き合うことで、コクシジウム症発症を予防していきたいものですね・・・!
 
 
今週の動画
【母乳性白痢】その原因とは

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