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橋本匠護のコラム
予防しているのに、コクシジウム症発症?part1

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2024年5月27日

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コクシジウムは子牛から成牛で下痢を引き起こす、厄介な寄生虫です。そこでコクシジウムに対する免疫を獲得させるために、生後2週目前後に抗コクシジウム剤(バイコックスやベコクサンなど)を予防的投与する農家さんもいらっしゃいます。

ところでワクチンでもない抗コクシジウム剤投与が、なぜ免疫獲得につながるのでしょうか。牛は以下の手順を踏んで免疫を獲得することで、発症予防につながるとされています。

1. 牛がコクシジウムに感染する
2. 体内でコクシジウムが増殖する
3. 抗コクシジウム剤を投与する
4. 免疫獲得!

つまりコクシジウムに感染していない状態で、抗コクシジウム剤を投与しても免疫は獲得できないのです・・・。若齢子牛の時期にコクシジウムに感染していない牛は、後にコクシジウムに感染した場合の重症化リスクが高いという話もあります。なんだか「みずぼうそう」みたいですよね。

しかし農場環境中にはコクシジウムが常在していることが多く、生後まもなく感染することも少なくありません。生後まもなく感染した場合、生後2週目前後には牛の体内でコクシジウムが程よく増殖しています。そのため、この時期の抗コクシジウム剤投与により免疫が獲得できる可能性が高くなるというわけです!

一方で抗コクシジウム剤を予防的に投与されている農家さんでも、下痢子牛の糞便検査をするとコクシジウムのオーシスト(虫卵)が大量に見つかることがあります・・・。なぜでしょうか?続きは次回です。
 
 
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