(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
第779話:放牧の検討

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2024年5月14日

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繁殖農家さんと話をしていると、とにかく経費がとてつもなく高くなっていると皆さん嘆いています。小生も本当にそのように思います。ある繁殖農家さんは、肌感覚でエサ代が倍になっている、とおっしゃっていました。さらに、そのほかの経費も上がっているのに子牛価格は低迷しています。

「先生、凄い勢いでお金が口座からなくなっているんですよ!!」
「近所のスーパーに仕事に行った方がましだ!!」
「先生もう哀れですよ、やる気もクソもへったくれもない。あ~~~あ、どうしよ・・・」

現状打破をしようと何とか頑張っていても、毎日の経費がバカにならないので繁殖牛の頭数を減らしている農家さんもいらっしゃいます。特に大型牧場では、繁殖母牛の頭数削減の動きは結構進んでいると感じています。

とにかく、肉用牛は酪農と違い子牛が生まれてセリで売れるまで経費がひたすらかかるだけです。もちろん、酪農業も滅茶苦茶大変ですが・・・。

実は小生、以前ある農家さんが放牧場を作るのをずっと応援していました。2012年ごろの話です。コラムの第314話にもその時の事を書いています。時間はかかりましたが、大変素晴らしい放牧場ができました。小生にとって、とても良い思い出です。今でも小生の家の庭はその時に使ったノシバがきれいに広がっています。庭一面に広がるまでに確か5年以上かかりました。

しかし、口蹄疫などの伝染病予防の観点から飼養衛生管理基準が細かく制定され、放牧をするにも色々と制限がかかってくるようになりました。飼養衛生管理区域の設定や、何かの時に収容するスペースの確保など、なかなか実施するのが難しい問題もあり徐々に放牧が小生の意識から薄らいできていました。

ただ、今こそもう一度放牧を見なおしてみてもよいのではないでしょうか。ミニ放牧というものもあります。東北農業研究センターさまが素晴らしいマニュアルを作ってくださっています。耕作放棄地をうまく使って、数頭でいいから是非放牧をやってみてはいかがでしょうか?ちなみに小生、何人かの農家さんに「放牧しようよ!」と声をかけております。5月から11月ぐらいまで1haあれば3頭放牧できます。妊娠牛を外におっぽり出しましょう。もちろん、疾病予防は忘れずに!

「ヒドゥーシュ!!」
 
 
今週の動画
先天性屈腱短縮で前膝が伸びなかった子牛

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