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加地永理奈のコラム
CTCとアイブロシンの相乗効果

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2023年11月22日

前回のコラム「マイコプラズマ対策に抗生物質のミルク添加」についてご質問をいただいたので、コラムでも共有させていただきます。

> CTCとアイブロシンを併用すると相乗効果があるのですか?
というご質問でした。
結論から申し上げると、YESです。

マイコプラズマは、その細胞内にある「リボソーム」という器官でタンパク質合成されることで増殖していきます。
「リボソーム」は「50Sサブユニット」と「30Sサブユニット」という2つが組み合わさったものです。両方に役割があり、30Sサブユニットの中では設計図(mRNA)が読み込まれ、50Sサブユニットの中では材料(アミノ酸)が1個ずつ繋がれていき、タンパク質が合成されます。

CTC散は、テトラサイクリン系という種類の抗生物質で、「リボソーム30Sサブユニット」にくっつき、その働きを阻害します。
アイブロシンは、マクロライド系という種類の抗生物質で、「リボソーム50Sサブユニット」にくっつき、その働きを阻害します。
CTCとアイブロシンを合わせて使うと、タンパク質合成に必要な「リボソーム」の働きを両方から止めることが出来るので、相乗効果があると言えるのです。

CTC、アイブロシンを含めた抗生物質の効果については、以下のコラムに図もあるので参考にしてみてください。
抗生物質の特徴をおおざっぱに覚えとこう(耐性菌防止の意味でも)
 
 
 
今週の動画
抗生剤の性質

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