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加地永理奈のコラム
第36回とちぎの和牛を考える会①

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2023年11月29日

那須で開催された「第36回とちぎの和牛を考える会」に参加してきました。
私は昨年が初参加でしたが、生産者の方々が集まってたくさん意見交換をされる活気のある会で、抽選会なども楽しみながら今年も参加させていただきました。
今年の講演では加藤敏英先生より、「元気な子牛を育てるヒント」として、①初乳について、②ワクチンのトレンドについて、③生菌剤について、お話がありました。

① 初乳について
初乳の中に含まれる成分で最も重要なのが免疫グロブリン(主にIgG)です。
その免疫グロブリン量を和牛とホルスタインで比較すると、和牛の初乳の方が倍以上高い濃度で含まれています。つまり、ホルスタインの初乳を2L子牛に飲ませても、和牛の初乳1Lにはかなわないのです。
このことから、受精卵移植によりホルスタイン種の母牛から和牛子牛を産ませた場合には、初乳代用製剤等も積極的に与える必要があります。

せっかくの初乳も、細菌汚染があったり、リッキング不足があったりすると、免疫グロブリンの吸収率が落ちてしまいます。
リッキングは、生まれたての子牛をフワフワにしてくれますし、免疫機能を発達させる効果や呼吸刺激効果、胎便の排出効果もあります。消化管の蠕動運動を促進するので、分娩直後に子牛の第四胃内に2~3L程溜まる胎水を排出させて、初乳の吸収率をあげてくれます。
分娩後すぐに親から離してリッキングができない場合には、かわりに乾いた布で子牛を拭き、寒い時期はドライヤー等で乾かすことを推奨しています。
 
 
 
今週の動画
抗生剤の性質

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