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藤﨑ひな子のコラム
浮腫⑦~膠質浸透圧編①~

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2023年6月23日

 暑い日が続きますが、まだ6月という事実に震えております。皆様、熱中症にはお気を付けください。

 浮腫シリーズも寄り道をしながらですが第7回目となりました。やっと折り返しを過ぎたころかなと思います。大変長いシリーズとなりますが、引き続きお付き合いよろしくお願いいたします。

 前回までのコラムでは、血管から細胞の間(間質)への水の移動が通常より多量に起こることによって、浮腫が生じることについてお話してきました。また間質への大量の水の移動は、血液の滞留や炎症による血管透過性によって引き起こされ、その原因についてもお話しさせていただきました。今回のコラムでは、間質から血管への水の移動が乏しくなるメカニズムについてお話ししたいと思います。

 間質から血管への水の移動が乏しくなる原因は、血漿膠質浸透圧の低下です。血漿とは血液の液体成分のことで、膠質とは液体の中を物質が散らばっている状態(コロイド)をさします。血液にはアルブミンというタンパク質が含まれているのですが、血液中にアルブミンが散らばっている状態を想像していただくと良いと思います。浸透圧とはアルブミンなどの物質が水を引く力のことです。ですから血漿膠質浸透圧の低下とは、毛細血管内の血液中のアルブミンが少なくなることによって、皮下の間質から毛細血管へ水を引く力が弱まった状態のことをさします。


膠質浸透圧①


膠質浸透圧②

 ではどのような時に血液中のアルブミンが少なくなるのでしょうか。それについては次回お話ししたいと思います。

 
 
 
 
今週の動画
bull’s semen collection 種雄牛の採精

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