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藤﨑ひな子のコラム
浮腫⑧~膠質浸透圧編②~

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2023年6月30日

 6月も今日で終わりですね!2023年も残すところ、あと半年となりました。年々、日が過ぎるのを早く感じます。皆様、いかがお過ごしでしょうか。

 前回のコラムでは間質から血管への水の移動が乏しくなると、浮腫になることをお話ししました。血液中のアルブミンと呼ばれるタンパク質が少なくなることにより、皮下の間質から血管への水の移動が減り、浮腫になります。今回のコラムでは血液中のアルブミンが少ない状態(低アルブミン血症)になる原因についてお話しします。
 アルブミンはタンパク質の一種なので、タンパク質の摂取量の少ない低栄養状態のときに発症します。このときビタミンA欠乏症も関与することがあります。ビタミンAは上皮細胞を正常に保つ作用があります。胃や腸にも粘膜上皮という上皮細胞があります。ここから栄養分を吸収するのですが、ビタミンAが不足すると、うまく栄養分を吸収することができません。そのため低栄養状態となり、体でタンパク質の一種であるアルブミンの合成が乏しくなってしまうのです。血液中のアルブミンも減少し、浮腫につながるのです。
 また血管も血管内皮細胞という細胞で構成されています。この血管内皮細胞もじつは上皮細胞の一種なのです。ですから、ビタミンAが欠乏すると血管もボロボロになってしまい、血管内のアルブミンが間質に移動して浮腫を起こすことがあります。このビタミンA欠乏によって起こる浮腫が瑕疵の1つであるズル(筋肉水腫)を引き起こすと考えられています。

 次回は引き続き、血液中のアルブミンが少ない状態になる原因について考えていこうと思います。
 
 
 
 
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