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加地永理奈のコラム
血糖値の調節機構

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2023年1月18日

以前のコラムでウシさんは低血糖なんてお話をしましたが、血糖値が低いからといってグルコースを全然使わないわけではありません。脳は特にグルコースに依存していて寝ている間も常に必要としています。生命維持に必要不可欠なグルコースを一定に保つための機構が体には備わっていますが、実はその調節に関わるホルモンはアンバランスになっています。

血糖値を調節するホルモンで一番有名なのはインスリンだと思います。インスリンは血糖値を下げる唯一のホルモンです。
血糖値が急に上昇すると、膵臓から分泌されるインスリンが、全身の細胞にグルコースを吸収させて血糖値を下げます。また、グルコースを肝臓でグリコーゲンという形に変換したり、脂肪細胞で脂肪に変換させて貯蔵することでも血糖値を下げます。(だから食べすぎると太るのです!)

一方で血糖値を上げるホルモンは、アドレナリン、グルカゴン、成長ホルモン、などいくつも備わっています。ストレスで分泌されるコルチゾールでも血糖値は上昇します。
本来動物が生きていく環境というのは、食事にいつありつけるかわかりません。そして食事を得るためには動き回って探す必要がありエネルギー消費も大きいです。いつも飢餓にさらされている中で生き残るためには、低血糖に対する備えがたくさん必要で、血糖値を上げる機能が重要だったということです。
そのおかげで、空腹がしばらく続いても運動でたくさんエネルギーを使っても、すぐ低血糖で倒れることはありません。

逆に、充分な食事に恵まれている現代の人々の体の中で、インスリンはいつも一人で頑張っています。あまりインスリンを酷使すると、インスリンを分泌するための膵臓が疲弊しインスリンは枯渇します。肥満もインスリンの効きを悪くする要因のひとつです。バランスの良い食事で食後高血糖を気にかけて、インスリンを大切に使わないといけませんね。
 
 
 
 
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