(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
加地永理奈のコラム
鹿児島全共―第四区繁殖雌牛群

コラム一覧に戻る

2022年10月19日

先日の全共では「第四区繁殖雌牛群」の審査をモニターで見ることができたので、今回はこの出品区についてお話します。
四区では、3代にわたり都道府県内で残されてきた、地域の特色を持つ雌牛を審査します。各産地の和牛生産を支える雌牛集団の代表であり、産肉能力と繁殖の優秀な雌牛が集まった区です。評価されるポイントは、発育の良好性や、母牛としての強さ、耐久性などです。3頭1組の審査であるため、その群の統一性も求められます。

実際の審査の前には、事前に体の各部位の測定、栄養状態の確認がされます。そして測定した数値と標準値を照らし合わせて、月齢に相応かどうかが判断されます。

実際の審査では、審査員が牛の周りをぐるっと一周し、10の評価項目を確認します。(「全共の予習②」と同じ図、青字の10項目です。)

どれも大切な評価項目ですが、この中から特に繁殖能力に関する部分を3つ紹介します。

・品位
元気や活力、雌牛らしさ、温厚な性質など、繁殖雌牛としての品が求められる項目です。繁殖牛としての能力、連産性、長命性を体のアウトラインやしまりといった見た目から判断します。
・後躯
後躯は繁殖に関わる器官が入っている部位です。分娩の難易度にもかかわるため、十分なサイズがほしいところです。また、お尻が跳ね上がる形は生殖器に障害が出やすい傾向があるため、坐骨より腰角が高い位置関係が求められます。
・乳徴
泌乳、哺育の器官であるため、子牛を上手に育てられるかの判断材料となります。乳房の容積、質、乳頭や乳静脈をチェックします。

四区は、これらの見た目からその牛の繁殖能力を推定して評価する区です。良い見た目を持つ牛が残されていくことで、より良い能力の牛が残り、品種改良が進みます。全国的に和牛の血統が似通ってきている中で、地域の特色ある雌牛集団づくりと改良の成果と技術の向上がこの第四区繁殖雌牛群の目的です。

 
 
 
 
今週の動画
角損傷【鞘抜け】包帯を巻いてみました

|