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藤﨑ひな子のコラム
卵胞の発育

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2022年9月16日

 朝は涼しくなってきましたが、日中は30度越えとまだまだ厳しい残暑が続きますね~。皆様の地域はいかがでしょうか?

 前回は卵子の形成過程についてお話しました。今回はその卵子を含む卵胞の発育過程についてお話したいと思います。卵胞の構造については卒業生・江頭先生のコラム(No.27 家畜の改良技術 その22 OPU編)こちらをご覧ください。
 卵子は原子生殖細胞→卵祖細胞→一次卵母細胞→二次卵母細胞→卵細胞と発達していきました。この中で減数分裂が開始される一次卵母細胞は卵胞上皮細胞に囲まれて原子卵胞を形成します(ここが卵胞形成のスタートです)。原子卵胞はウシが性成熟に達すると、発情周期に伴って発育を開始します。一次卵母細胞を取り囲む卵胞上皮細胞は成長していき、立方状となり顆粒層細胞となります。
 顆粒層細胞は分裂・増殖を繰り返して多層となり、二次卵胞へ発育します。この間に、一次卵母細胞と顆粒層細胞との間に透明帯が形成されます。透明帯は受精卵となって成長している段階(卵割期の胚)で白血球の侵入を防ぐ、卵管内の付着を防ぐなど受精卵を守る働きをします。また二次卵胞の周囲にでは、卵胞膜細胞が取り囲むようになり、血管の新生が起こります。
 さらに卵胞が成長すると、ぽつぽつと卵胞液をためた腔ができてきて三次卵胞(胞状卵胞)となります。これらの腔は合体して大きな腔(卵胞洞)となり、その分卵胞自身も大きくなり、グラーフ卵胞(成熟卵胞)となります。グラーフ卵胞は卵胞の最終ステージです!
 グラーフ卵胞内の卵母細胞は、多層の顆粒細胞(卵丘細胞)とともに卵丘を形成します。その後、排卵前のLHサージ(大量のLHホルモンの刺激)を受けると卵丘は分解され卵胞腔に遊離し、排卵されるのです。
まとめますと卵胞は、原子卵胞→二次卵胞→三次卵胞(胞状卵胞)→グラーフ卵胞(成熟卵胞)の順に発育するということです。そして十分に発育した卵胞がLHサージをうけて排卵するのです。


 
 
 
 
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