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藤﨑ひな子のコラム
卵子の形成過程~長い長―い道のり~

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2022年9月9日

 朝方はだいぶ涼しくなってきましたが、皆様の地域はいかがでしょうか?
 シェパードでは診療、コンサル等と幅広い分野で活動しています。そのなかで卵胞から吸引した卵を見る機会がありましたので、今回のコラムでは卵子の発生過程についてお話ししたいと思います。

 卵子形成はなんと胎生期初期(受精してから数十日、生まれるずっと前から)に始まり性成熟の後にはじめて完了するというとても長い期間にわたって行われる一連の細胞分化の過程です。(次世代をつくるもととなる卵子が、自身が生まれる前から準備されているなんて生命の神秘を感じますね!)。
 卵子のおおもととなる原始生殖細胞は有糸分裂(自分のコピーを作る分裂)を繰り返しながら、卵黄嚢から生殖腺原基へ移動し卵祖細胞へと分化していきます。卵祖細胞は胎生期の卵巣内で有糸分裂を繰り返す増殖期を経て、成熟分裂を行う成長期に入ります。この成長期の間に一次卵母細胞、二次卵母細胞へと成長していきます。また、この間に減数分裂(体細胞の染色体を半数に減らす分裂)が生じます。
 胎生期にすべての卵母細胞が第一減数分裂の前期まで進んだ後停止し、排卵直前にようやく分裂を再開させます。分裂再開後、二次卵母細胞へと成熟し第一極体(核と少しの細胞質からなるもの)を放出します。そのまま第二減数分裂を開始しますが、またしても第二減数分裂中期で分裂を停止します。この時期にようやく排卵されるのです。(排卵された卵って実は成熟卵ではないのですね。。。)
 排卵後の二次卵母細胞は精子が侵入すると、第二極体を放出して第二減数分裂をようやく完了させます。受精とほぼ同時期に卵子の形成が終了することになります。卵子の形成にはこれだけ多くの時間がかかっているのです。

 次回は卵胞の発達についてお話ししたいと思います。
 
 
 
 
今週の動画
【検査】血液検査項目の紹介ー白血球編ー

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