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藤田真千子のコラム
No.47 暑熱ストレスと繁殖①

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2022年9月1日

お盆が明けて、ずいぶん涼しくなりました。とても過ごしやすいです!!
暑い時期のOPUってどうなの?というご質問を受けることが多かったので、今回は暑熱ストレスが繁殖に及ぼす影響についてお話します。涼しくなってからの投稿ですみません(;’∀’)

~暑熱ストレスについて~
牛は高温になると体温が上がりすぎないようにするために、呼吸回数を増やすことで放熱を促進しています。しかし、温度が高くなりすぎるとコントロールができなくなり、体温が上昇してしまいます。これを暑熱ストレスと言います。熱産生を抑制するために採食量は低下し、エネルギーバランスは崩れます。また、体内の酸化ストレスは上昇します。(酸化ストレスとは「酸化反応により引き起こされる生体にとって有害な作用」のことで、活性酸素と抗酸化システムとのバランスを指します。発生した酸化ストレスに対し、抗酸化能(活性酸素を除去する能力)が追い付かない状況になると酸化ストレスが上昇します。)
これらは、ホルモン分泌を担う内分泌系(視床下部・下垂体、卵巣)に悪影響を及ぼします。結果として、発情の微弱化、排卵障害、卵子の質の低下、黄体機能の低下、胚死滅などが生じます。

☆酸化ストレスについて、詳しくはこちらをご覧ください↓
和牛生産における受精卵移植技術の活用(⑪酸化ストレスと抗酸化能について)
https://www.shepherd-clc.com/archives/17043
 
 
ホルスタインは泌乳能力が高い一方、暑熱には弱い品種です。乳用牛では適温域は4~20℃であり、25℃を超えると体温が上昇しやすくなります。体温が39.0℃以上になると十分に暑熱ストレスを受けていると考えられ、30℃を超える気温下では体温は39.5℃を超えることもあるようです。乳用牛と比べて暑さには比較的強いとされる和牛においても、30℃以上の環境では体温が上昇すると言われています。乳牛ほどではなくても、7-9月に受胎率は低下します。

つづく
 
 
 
 
今週の動画
【臍ヘルニア】コルセットの効果を検証してみた

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