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藤田真千子のコラム
No.48 暑熱ストレスと繁殖②

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2022年9月8日

前回は暑熱ストレスについて、簡単にお話しました。今回は、繁殖への影響を少なくするために授精前の牛に対策を取る場合、どの時期から気を付けたらよいのか、というお話です。

~どの時期の暑熱が影響するのか~
農家さんと、授精数日前からクーラーの効いた部屋に入れておけば良いのかなぁ…なんて話もしましたが…結論として、発情の1・2周期前~発情後数日はできるだけ暑熱の影響を少なくしたいところです。

①発情の1・2周期前~発情
発情微弱化、発情周期の乱れ、発育中の卵子への影響、黄体サイズの減少・黄体ホルモン濃度の低下などが生じるため、発情前は暑熱ストレスを避けなければなりません。体外受精においても高温にさらされた卵子は、その後の成熟や発生に影響が出ると言われています。採卵の少なくとも1~2週間前は涼しい環境にできると良いですね。

②授精時
高温下では精子の活性に悪影響を及ぼし、受精率が下がるため、授精時も注意です。涼しい時間に授精をされる方も多いと思います。

③授精後数日
授精後2日くらいまでの胚は特に暑熱の影響を受けやすく、胚の発育が停止してしまいます。日数が進むほど、暑熱の影響を受けにくくなるため、暑熱時の低受胎への対策として受精卵移植が活用されています。
 
 
なかなか難しいですが、受胎するまではどの時期も暑熱ストレスはかけない方が良いようです(;´・ω・)。那須でのOPUでは暑熱ストレスはほとんど感じず終わりましたが、暑くなる地域においては注意が必要です。
 
 
 
 
今週の動画
【検査】血液検査項目の紹介ー白血球編ー

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