(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
藤田真千子のコラム
No.41 双子の子牛

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2022年7月7日

双子の場合、早産のリスクが高くなります。双子で2~3週間早産というのは、皆さん経験があるのではないでしょうか。元気にミルクを飲んでくれれば問題ないですが、なかなかミルクを飲めないとか活力が弱いということがあります。このようなときシェパードでは輸血を選択することがあります。一般的な輸液だけではいまいち調子が上がらなかった子も、輸血をおこなうとすぐにミルクを飲むようになるケースは多いです。双子では難産や肺の機能が未熟であることにより低酸素血症を起こしやすいため、輸血が効果的なのだと考えています。また輸血は血液中に直接抗体を取り入れることができるので、初乳を飲めなかった子牛にも効果的です。
※輸血は母牛からの採血を原則とし、ショックに備えてデキサメサゾンを併用するようにしてください。

かなり前ですが輸血については蓮沼先生がお話していますので、良ければご覧ください。現在、輸血は感染症予防の観点から推奨されていませんので、必ず獣医師の指示に従ってください。
第46話 輸血について考える ~ 

~ウシの双子~
牛の双子は、ほぼほぼ2卵性です。2卵性というのは2つ卵子が排卵し、それぞれが精子と受精して受精卵となったものです。遺伝的には兄弟と同じですね。まれに受精卵が分割して双子ができることがあるらしいですが、この場合は全く同じ遺伝情報を持った1卵性の双子ということになります。

2個排卵する理由
本来なら1個だけ排卵するところを2個排卵してしまうのは、ホルモンや栄養状態、ストレスなどの影響によるものだと言われています。特に高泌乳牛では発生率が高くなっています。高泌乳牛では飼料摂取量の増加から肝血流量が増加しホルモン代謝が進むため、2個目の卵胞が育ってしまいます(長くなってしまうので細かい説明は端折っています…すみません)。和牛でもたまに2個排卵しやすい牛がいますが、泌乳量が多いなど、頑張っている個体なのかもしれません。
 
 
 
 
今週の動画
BCS 肉用牛のBCSについて

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