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前村達矢のコラム
子牛が急に苦しそうにしている場合に疑われること

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2022年5月20日

以前のコラムで、「苦しそうにお腹を蹴る」子牛について紹介しましたが、ここ最近同じような症状でも違う病態と思われる症例があったので、今日はそれについてお話したいと思います。

前回紹介した子はおそらく消化管の捻転あるいは痙攣疝と思われるものでした(詳しくはこちら)が、今回もそれが疑われるような症状で、急に苦しみだして横にぐったりし、脱水も+、また排便も確認できないという状態の子でした。緊急性の高い症例だったためすぐに治療に当たるも、残念ながら次の日には死んでしまいました。
すぐに松本獣医師が剖検を行い原因を探ったところ、第四胃内に鋭利な毛球が詰まっており胃に穴が開いていたそうでした。

また、他にも藤田獣医師が初診で、これまた同じように急な疝痛症状でぐったりと横になるような子牛の診療がありました。結果からお話しするとこの子は、大腸菌性の腸炎と診断され元気に治癒しています。

やはりそれまで元気だった子牛が突然、ぐったりしたり、バタバタと苦しそうにするというのは驚きますし、なにが起きているのか判断も難しいですよね。獣医師側も臨床症状だけでは確定診断がつかないことも多いです。なので、このような場合には診断的治療を行いながらも、血液検査を並行して行って総合的に判断しようと心がけています。
今回は、似たような症状でも本当にいろいろな病態があるなあというのを改めて実感したのでコラムに書かせていただきました。

参考になれば幸いです。
 
 
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