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データを分析して現状を正しく知る(出雲畜産技術士のコラム第6弾-1)

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2022年3月19日

1 牛肉輸出の現状

 ネットで色んな情報が入手できる便利な世の中になりました。その中でも、農林省や家畜改良センター、農畜産業振興機構などからは、畜産関連の色んな統計データが得られるので、私は現状分析などをする時に役立てています。データをグラフ化するなど可視化することで、見えて来ることがあります。

 先日の日本経済新聞に、牛肉輸出が記事になっていました。もう少し詳細に知りたいと考え、2021年までの輸出実績を農林省輸出統計数値を元にグラフ化しました。農林省の牛肉に関する輸出統計は2014年からしかデータがありませんが、2014年に年間輸出額が81億円で量は1,257トンだったのが、2021年には537億円で7,879トンとなりました。単価計算してみると、1kg当り7,000円となります。輸出形態がブロック肉なのか、骨付きなのか不明ですが6倍の伸びとなります。最近の輸出先ベスト3は、アメリカ、カンボジア、香港です。カンボジア、香港への輸出は中国への供給先としての役割を果たしています。

 食文化の違いなどから、政府が言うように牛肉輸出が和牛肉消費のメインになるとは考えにくいと、私は思っています。しかし牛肉の輸出は、インバウンドによる国内での和牛肉消費の動機づけになると考えます。まずは、美味しい和牛肉の味を知ってもらうことが重要です。

 和牛枝肉価格は、東京食肉市場の相場情報内にある牛肉相場情報が下記のサイトにあり、そこで見られます。そのページの「月間加重平均はこちら」をクリックすると、過去2年分の月毎枝肉相場の推移が見られます。
https://ssl.tmmc.co.jp/trader/market/cattle/
 
 一時の高値相場に比べると下がっています。しかし、輸出が好調で和牛肉の引き合いが強ければ、相場が大きく下がることは考えにくいと思います。本国で美味しい和牛肉を知り、渡日できるようになれば日本に来ていただいて、本場の和牛肉を食べて頂く好循環が生まれることを期待します。

 そのためには、コロナの終息が待ち望まれます。

(つづく)

出雲畜産技術士事務所 代表 出雲将之
 
 
~ 出雲畜産技術士のコラムシリーズ ~

第1弾「幸せな牛飼いとなるための10カ条-1

第2弾「厳しい時こそ「カイゼン」のチャンス-1

第3弾「牛さんの気持ちになって考える

第4弾「牛さんとわたし

第5弾「和牛への支援と将来展望
 
 

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