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前村達矢のコラム
クリプトスポリジウムについて色々と②

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2021年12月24日

前回のコラムではクリプトスポリジウムがいかに厄介かということを中心に書いていきました。今回は、厄介なのはそうなんだけどそれではどう対策していこうかというお話をしたいと思います。

まずは、農場に病原体が侵入したときの対応あるいは予防として、最初に思い浮かぶであろう“消毒”からいきますね。方法は、水とトライキル(同じオルソ剤であるタナベゾールでもよいです)と消石灰を下の画像のとおりの比率で混ぜ合わせハッチや牛床に使用するというものです。詳しくはこちらに書いてあるのでぜひご覧ください。

それから、堆肥の発酵熱による殺菌(殺虫?)がうまくいっていない場合には、虫卵を含んだ分娩房の敷料が生まれたばかりの子牛に付着しそのまま感染するケースも考えられます。防疫には気をつかっているのに発症が多い場合には意外と盲点かもしれないので、見直してみるのもよいかもしれません。

次は感染してしまった子牛に直接してあげられることについてのお話です。前回のコラムでも触れたとおり、クリプトスポリジウムにはこれ!というようなものは残念ながら存在しません。となると総合力勝負になりますが、やはり基本は初乳の質や量、給与方法に問題がないことだと思います。逆にここさえクリアしていれば、重篤化することは少ないと感じています。あとは、カーフサポート6やグロウパワーなどのクリプトスポリジウムの抗体を含む添加剤、バリウムやアースジェネターも予防や症状の緩和に有効です。それでも水下痢が続くときはなるべくはやめに補液してあげると治りが良いですよ。

改めての話が多くなってしまいましたが、子牛の下痢が多いが病原体は検査していないという方はぜひ一度調べてみて下さいね。もしクリプトが出たとしても、発症を完全になくすことは難しいですが、重篤化や下痢の発症期間を減らすことはできるので試してみて下さい。

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