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笹崎直哉のコラム
エコーでフレッシュチェック

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2021年12月21日

久しぶりの投稿になります。12月に入り少しずつ寒くなってきましたねー。

さっそくですが今月、出張先で繁殖母牛の診察を行ったので、紹介しようと思います。

「産後40日の母牛の卵巣や子宮の状態を見てほしい」

とのことで診察しました。
この時期は卵巣の機能や子宮の回復状態を直腸検査による触診、膣鏡での検査、エコーによる画像診断などで総合的に評価する、いわばフレッシュチェックと呼ばれる時期に該当します。一般的に産後30〜40日を目安に確認することが多いです。

確認後は母牛のボディコンディションスコア(BCS)と飼料給与状況を確認しつつ、必要であれば飼料の増量、ビタミン投与、ホルモン処置や子宮洗浄等の実施を検討します。

詳しくは藤田獣医師のコラム
フレッシュチェックで確認すること①〜⑤
で詳細が分かりやすく記載されているので、ご覧ください。

さて、こちらの農場は3ヶ月間自然哺育を行っています。産後40日なので以下ご覧のように母子同居中でした。

ボディコンディションを確認しましたが、特に大きな問題はありません。栄養状態はさほど悪くないようです。

まずは膣鏡検査です。

子宮頸管は開口せず、充血、発情粘液の貯留もありませんでした。
また膿あるいは膿汁も存在しませんでした。

次に直腸検査です。

子宮の収縮はありませんでした。
この時点で発情期ではなさそうだと判断しました。
また子宮のサイズは左右対称でした。
卵巣の触診では黄体や主席卵胞を確認できませんでした。

以上から産後から明瞭な発情はなく、卵巣静止になっているのではないかと判断しました。

ではエコー検査です。

子宮内膜は腫脹していて、ヒダとヒダの間に隙間がありました。
その子宮内腔は黒色に近い(低エコー像)液体らしきものが貯留していました(写真では黄色矢印で示しています)。
このことから子宮は完全に回復しておらず、遅れていると判断しました。
エコーで確認しても触診のときと同様、左右卵巣は小卵胞群のみで黄体はありませんでした。

以上より何かしらの処置は必要と考え、今までの所見を農家さんと話し合って治療方針を決めました。
結果今回はホルモン処置や子宮洗浄などは実施せず、子宮内膜と卵巣機能の回復を目的にビタミン剤と亜鉛製剤を給与することになりました。

こちらの農家さんは分娩前後でビタミン剤の投与を行っていない、とのことだったので

ゼノビタンAD3E 5ml
パンカル注 10ml
ビタミンイー注10ml
の注射とドン八ヶ岳AD3Eを1日あたり50gで20日間飼料添加するようお願いました。

以上、私が最近実施したフレッシュチェックの一連の流れです。

子宮、卵巣ともに順調に回復して、種がつきますよーに!!

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